のんびりmathematicー数学主婦のブログ

大学院まで数学を専攻していた主婦によるのんびりブログ

【集合と論証】取調室の背理法と夫婦喧嘩

2017年現在、高校数学の数Ⅰに存在する単元「集合と論証」

 

この単元に対して、

 

集合のところはできるけど、命題とかの方が意味わからない

 

という声をよく聞きます。

 

今回は、「命題とかの方」の2大クライマックスである背理法を取り上げたいと思います。

(ちなみに、もう一つのクライマックスは、対偶命題の話だと思います。)

 

0.背理法とは?

背理法とは何なのか。教科書にも書かれてますが、復習しましょう!

 

ある命題 P を証明したいときに、P が偽であると仮定して、そこから矛盾を導くことにより、P が偽であるという仮定が誤り、つまり P は真であると結論付けることである

背理法 - Wikipedia 

と、wikipediaでは紹介されています。

 

英語だと、

 

proof by cotradiction

 

つまり、

 

矛盾による証明

 

です。

 

「なんのこっちゃ…難しそう」と感じた方もいると思うので、高校数学の中で利用しやすくなるように、噛み砕いていきしょう!

 

1.私は背理法が好きだ!

噛み砕く前に、ちょっと語らせてください。

 

あの、有名な「√2は無理数であることを証明せよ」っていう問題あるじゃないですか。

あれが、17才くらいのとき、すっごく好きで、何度も何度も何度もノートに書いてました。

 

↓その証明、こちらです。

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これ、教科書にも必ずと言っていいほど掲載されてますよね。

小気味良いというか、何というか、もはや様式美すら感じます。

 

あと、素数が無限個存在することの証明」も好きです。ζ関数を使っても証明できるっていうのも楽しいですよね。

ユークリッドの方法も、ζ関数の方法も、どちらも背理法を使います。

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この「矛盾が導けたから、正しいことがわかる」って、めっちゃ良くないですか!?

もはや快感しかありません。

2.取調室の背理法

背理法って、「取調室みたいだなあ」と思うんです。

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例えば、ある殺人事件の容疑者を取調べしてるとします。その殺人事件は、9/20に東京で起きました。

その取調べ、こんな様子でした。

 

容疑者「9/20、大阪で一泊していた。東京にはいなかった。」

 

警察「そうですか。大阪で一泊してたんですね。その日の大阪の天気は覚えてますか?」

 

容疑者「確か、くもりか晴れでした」

 

警察「9/20の大阪は、記録的な台風に見舞われていましたよ」

 

こうなると、容疑者の人が一気に怪しくなりますよね。一泊した日が、記録的な台風だったら、さすがに覚えているはずです。

でも、人間だから記憶違いとかもあるかもしれません。とはいえ、この容疑者を、今後も詳しく調べる価値はありそうです。

 

このやりとりの中で、警察は、いったん「容疑者は大阪にいた」と仮定して、話を進めようとします。試しに容疑者に「大阪にいたら絶対知っているはずのこと」を質問してみたら、容疑者は矛盾する発言をしてしまいます。そして、「大阪にいたのは嘘である可能性が高い」と、警察は強い確信を持てるようになりました。

 

この「いったん嘘かもしれないことを仮定して、矛盾を発見する」というのが背理法的な考え方です。

 

取調べのような、人間とのやりとりの場合、記憶違いなどのヒューマンエラーがありえますが、

 

数学は、一回でも矛盾したらアウト!

 

です。

 

矛盾を絶対許さない世界、数学…。人が生きる世界では、ありえない…。

さすが、正しさをとことん追求する学問である「数学」ですね!

3.改めて背理法名証明へ

「√2は無理数である」の証明も、取調べ風に言えば…

 

√2「私は、有理数です!信じて!!」

 

警察「わかりました。では、p,qを互いに素な自然数として、q/pと表せるんですね。」

 

√2「そうです!」

 

警察「ということは………」

 

という要領で、√2をどんどん追い詰めていくと、

 

警察「………pもqも、2で割れますね。ということは、最初に認めていたp,qは互いに素って話は…?」

 

√2「ごめんなさい!嘘ついてました!!私は無理数です!!!」

 

というストーリーです。

4.あなたは警察

背理法を使おう」と思ったときは、警察になった気持ちで、相手を取調べてみてください!

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とにかく、いじわるな質問をしまくって、追い詰めていって、矛盾を探してみてください。くまなく。くまなく。

 

「√2は無理数である」の証明も、単にq/pと置いただけではダメで、「互いに素」という条件を入れることが不可欠です。

この辺が、くまなく追い詰める感じかなあ、と思います。

 

相手の特徴や性質を、とことん捉えて、攻めまくってください!!

5.日常生活では使いすぎないで!

これだけは伝えたいんですが、

 

日常生活で背理法を使いすぎると、嫌がられます!!

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背理法の特徴は、

○たった一回の矛盾も許さない

○くまなく相手を追い詰める

 

という、口喧嘩とかでやったら、「正論だけど、言い方が嫌だ!!」と怒られるやつです。

 

私は、夫婦喧嘩のときに、背理法な攻め方をしてしまうんですが、

 

「逃げ場がないから、やめてくれ」

 

と夫に言われてしまいました。

劇場版のアスカになったかのごとく、ロンギヌスの槍がグサグサ刺さるような心持ちになるそうです。

 

というわけで、背理法の使用は数学の中だけに留めましょう!!

人間には矛盾がつきものですよね。

5.さいごに

高校数学と大学数学って、ギャップがすごく大きくて、

「え…高校までで勉強して身につけたこと、あんま使わないじゃん…」

って驚くくらい、新しいことが、じゃんじゃん出てくるんです。もちろん、その新しいことは、高校数学の延長にあるものです。でも、新しすぎるから、「出会い直し」を、じゃんじゃんしていく感じになるんです。

 

だから「高校まで数学の偏差値70だったのに、大学で授業に全然ついていけない現象」が多発します。

微積の計算がどんなに速くても、センター試験で満点でも、そんなことでは太刀打ちできず、また0からスタートしていかなきゃならない。

 

でも、背理法はずっと使います。使えます。

大学でも、大学院でも。ずっとずっと有効です。

 

私は集合論のことに詳しくないけれど、それだけ背理法は根源的なものなのかもしれません。だから、学ぶ価値ありまくりだと思います。

 

どうぞ、素敵なキラキラ背理法ライフを♡

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(集合と論証編 つづきます)